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なぜ今、「天皇主権説」再考なのか?・その5(完) (連載「パックス・ジャポニカへの道)

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天皇制、世界王族、ロイヤルファミリー、呼び方は違っても、藤原、板垣、原田、新井etc・・・の日本皇室始祖鳥サークルと思しき、1人ですが。
ちょっと、まだ、ネットに集中できませんが。とりあえず、参考ですね。
Φ(^π^;)φ

なぜ今、「天皇主権説」再考なのか?・その5(完) (連載「パックス・ジャポニカへの道)
http://blog.goo.ne.jp/shiome/e/5bd47d5b3c57bcb72224e3fd60b76eaf

(IISIA代表・原田武夫の最新刊「甦る上杉愼吉 ―天皇主権説という名の亡霊」(講談社)は

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「国政は議会制民主主義によって決すべき」―――私たち日本人が当たり前と思ってきたそんな大前提が今、目の前で音をたてて崩れ落ちつつある。その理由は2つある。

 

一つは議会(国会)における議論が再び「劇場政治」と化してしまい、与野党共にどう考えても「国家として喫緊の大問題」とは思えない出来事に拘泥し、勝ったの負けただのといった茶番を激しく演じ続けているからである。ここに来ていよいよ刑事告発にまで至りつつある松島みどり法務大臣を巡る一件は正にその極みというべき案件なのだ。

 

 

そもそも何故に議会主義(Parlamentarismus)が採用されているのかといえば、近代合理主義の伝統の下、それが最も「全体意思(Volonté générale)」を顕現(reveal)させるのにふさわしいと素朴に信じられてきたからである。だが、そうした期待が現実のものとなるためには以下の2つの「大前提」が満たされている必要があるのだ:

―国民代表の役割を務める代議士たちが均しく「理性」の持ち主であり、また彼・彼女らが「理性」に基づいて議論を重ねることによって最終的には「理性」そのものだけが導き出すことのできる最善の選択に至ることが出来ると確信していること

―その意味で代議士の行動原理は「理性」のみなのであって、代議士 はその資質について他者より優れているからこそ、選挙民たちによって推挙されるという仕組みが機能していること。選ばれた後に代議士はいかなる個別具体的 な利益状況によっても左右されることなく、最後には自らの「理性」によってのみ議論や議場での投票行動を行うという慣行が確立されていること

 

逆にこれらが満たされない場合、一体どうなるのだろうか。―――まず代議士たちは「理性」によって選ばれない場合を考えてみよう。この時、代議士た ちは選挙民たちの気まぐれによって選ばれ、ちょっとした「物の言い方」や「見てくれ」によって選ばれることになる。要するに議会主義は「美人投票」に堕し てしまうというわけなのである。

そうである時、代議士の側は自らが永遠に「美人」であるかのように装い、また選挙民にそう想い続けてもらうため、全力で行動するようになる。その結 果、「理性」ではなく、気まぐれな選挙民たちのナマの欲望にどれだけ応じることが出来るかがカギということになってくるのである。当然、「口利き」が横行 し、そのために政治資金が飛び交うといった事態が当然視されるようになってくる。「力のある代議士」とはイコール、「理性」をもって議論を行い、「全体意 思」を顕現させることが出来る者ではなくなってくる。そうではなくて、むしろ情動的であり、個別具体的な生々しい利益に対して即応できる組織(Apparat)を築き上げてきた世襲政治家一家こそが、その任にふさわしいということになってくるのである。

 

 

だが、こうした議会主義の現実的なあり方がもはやこれからの私たち日本人を取り囲むことになる環境のドラスティックな変化に全く適合的ではないこと は誰の目にも明らかなのである。鳴り物入りで始まった「アベノミクス」は明らかに大きな障壁にぶつかっている。大きな期待を抱かせる形で始まった「日朝交 渉」もまた巨大な暗礁にぶつかった。

さらにいえば「エボラ熱」「イスラム国」といった国際的な課題が山積しているのが現実なのだ。「選挙民向けのうちわ」だの、「赤いマフラー」だのといった議論を延々と続けている余裕は我が国には全くないのである。それなのに膨大な国費を費やして、誰もが呆れる議論を公然と繰り広げている我が国の議会(国会)はもはや機能不全を越えて、無用の長物となってしまっているといっても決して過言ではないのだ。


そもそも議会主義において、これまた暗黙の前提とされてしまっている「政党政治」も大問題を抱えている。寄らば大樹の陰とばかりに資金力、そしてそ の意味での影響力のある代議士の下へと数多くの代議士たちが寄り集うことによって成立する「政党」は元来、一体不可分であるはずの「全体意思」を顕現させ るどころか、国論を二分、あるいはそれ以上の無数に分解するためのツールでしかないのである。

そう、議会主義はそもそも決して消すことの出来ない巨大な矛盾を抱えているというわけなのである。「国家危急の時」にあって、国家としての方向性を指し示す全体意思を顕現させるどころか、逆にそれを真正面から妨げ、分裂させるための仕組みに過ぎない議会(国会)をこれ以上、現在のまま「国権の最高機関(日本国憲法第41条)」に据えておいてよいのであろうか。―――私は率直にいって素朴な疑問を禁じ得ない。

 

それでもなおこれまでかろうじて議会主義が維持されてきたのは、もう一つの原理である「民主主義」と結び付けて論じられてきたからである。この時、 民主主義とは要するに単純なゲームの規則としての「多数決原理」を指している。「数こそ力」なのであって、最後の最後には「多数派(majority)」 が決断したことが全体意思であると”みなされる”という「みなし民主主義(Pseudo-democracy)」こそ、現実に我が国において存在してきた 政治システムの原理原則なのである。一般には「議会制民主主義」と呼ばれている。

 

だがこの「議会制民主主義」はもはや機能しないということを私たち日本人は、もう間もなくまざまざと見せつけられることになる。なぜならば金 融資本主義(financial capitalism)の必然的な末路としての金融メルトダウンの止まらぬ伸展の中で「国家」は莫大な公的債務を抱えるに至っており、この問題 (sovereign debt issue)を解決するための道のりを至急模索せざるを得なくなっているからだ。

そもそもなぜこの様な問題が生じたのかといえば、「福祉国家(welfare state)」に対する素朴な信仰が「議会制民主主義」のこれまた大前提として維持されてきたからである。とりわけ1970年代から加速し始めたインフレ 拡大経済の中で私たち日本人は「国家とは打ち出の小槌である」と信じ込み、時の為政者たちから提案されるままに福祉国家の拡大を容認してきた。「議会制民 主主義」における為政者とはイコール、議会(国会)における多数派であり、個別の代議士の集合体である。代議士たちの関心事項はただ一つ、「次回の選挙で も選ばれること」でしかない。そのため週末に地元選挙区に帰っては公金分配の口約束を行い、それをもって「選挙公約」となし、めでたく当選した暁にはそれ を霞が関の行政庁に対してねじ込む、といった振る舞いを集団で行い続けてきたのである。その結果、とんでもない金額にまで公的債務残高が我が国においては 積み上がってしまったというわけなのだ。

「歴史の皮肉(Ironie der Geschichte)」とは実によく言ったものである。公的債務残高問題をいよいよ解消するとなった時、我が国に限らず、世界の各国にとって残された手段は全部で4つしかない

―経済成長を遂げて歳入を増やす

―債務交換/債務減免を投資家との間で行う

―ハイパーインフレーションを引き起こし、債務を無価値化する

―戦争経済に移行する

 

この内、最初の手段は長期金利の上昇を伴うため、それを補って余りあるほどのイノヴェーションがなければ不可能である。次の手段がどれだけ厳しいものであるのかは、例えば今、アルゼンチン政府が味わっている塗炭の苦しみを見れば明らかだ。

一方、我が国の「日本国憲法第9条」により、最後の選択肢をとることは事実上不可能である。「全ての戦争は防衛を名目に始まる」とはいっても、自国の経済状況を常に勘案しながら機敏に戦争を拡大・縮小していくことは憲法上の制約から出来ないからだ。

したがって残された選択肢、いや私たち日本人が自主的に選ぶのではなく、「消極的」に選ばされることになっているのが第3の手段すなわちハイパーイ ンフレーションによる債務の無価値化なのである。日本銀行が「何があっても異次元緩和を続ける」と断言しているのはそのためである。当面の間は資産バブル 展開となるため、いわゆる「富裕層」を中心にそれによって裨益する者たちがいることは事実だ。だが、ある段階で火がつくや否や、日本円そして日本国債は一 気にその価値を暴落させ始めるのである。

 

「それでは海外に資産を逃避させればよい」

 

そんな声が聞こえてきそうだ。だが、一歩海外に目を向けると「エボラ熱による大量の死亡者発生」という現実、そして「イスラム国(Islamic State)に対する終わりなき拡大と大量破壊兵器による惨事」という現実が拡大の一途を辿っているのである。その結果、私たち日本人は「自分自身の国で ある日本(NIPPON)に止まって何とかしなければならない」という、真に急迫不正かつ他に選択肢の無い状況へと追い込まれることになるというわけなの だ。

しかもこうした選択肢を選ばざるを得なくなるまでの時間はそう長くは残されていないこともまた現実なのである。早ければ2年、最も遅くとも5年後で ある2020年までには「その時(moment of the truth)」が情け容赦なく到来する。それまでの貴重な一時を、全くもって本質的ではない冗長な議論を延々と繰り広げている代議士諸兄とそのプラット フォームである「議会制民主主義」に任せてしまって良いのであろうか。―――これこそが、我が国における本当の問題であり、かつ”唯一の問題”なのである。

 

加えて我が国を再び「人智を超えた世界」による大惨事が襲うことがあったらばどうであろうか。「太陽嵐」「極端な寒冷化」「南海トラフ巨大地震」そして「富士山大噴火」―――こ うした事態が発生した場合、もはや「延々と冗長な議論を行い、何も決めず、また決めるための専門的な能力も持ち合わせない烏合の衆」に過ぎない代議士の集 団=議会(国会)が全く機能しないということを、私たち日本人は2011年3月11日に発生した「東日本大震災」の惨禍の中、身に染みて学んだのではな かったのか。

 

(蔵王の「御釜」に発生した帯状の白濁(出典:河北新報))

これからの5年間、いや2年間にあって真に求められる「新体制」―――そこにおいて必須の要素を掲げるならばこうなる:

 

●真に私たち日本人全員の「全体意思」を顕現させるための仕組みであること

●急迫不正の事態にあっても迅速かつ果断に決断を下すことが出来るシステムであること

●そのために必要な知見・経験をもった人物を門閥地縁とは無関係に積極登用し、オール・ジャパンとしての対処を即時かつ効果的に可能にするような仕組みであること

 

要するに私たち日本人がこれまで慣れ親しんで来たいつまでも決めることが無い「議会制民主主義」、あるいは肥大化だけし続け機能不全に至っている (従来型の)「官僚制」といよいよ訣別するというわけなのである。そしてこれらを束ねていたのが民主的な契機(普通選挙)であり、かつ多数決という仕組み であった以上、これらについてもまたゼロベースで議論が行われて然るべきなのである。事態はもはや「そのレヴェル」にまで到達しているのだ。

上杉愼吉が語った憲法論が最終的に思い描いた国家イメージこそ、そ の時、想い出されるべきものなのである。至高の賢者が構成員の全てと「気持ち」でつながり、それを忖度しながら前に進んでいく。それを支えるのが高度に専 門的な知見を兼ね備えた本当の意味での「官僚制」であり、意思決定システムが明瞭な分だけ迅速に、しかしその最高統治者は絶えざる自己研鑽を通じて「全体 意思」との同一を自己規律として課し、かつオール・ジャパンとしてベストの知見がそこ出の判断基準となる。

そう、我が国において怖れることなく議論されるべきは全く新しいこの意味での「天皇親政」の可否な のである。上杉愼吉はその天皇主権説をもってその必要性を彼の時代に説き、結果として弾圧された。しかしその結果残された明治憲法下の成れの果ての体制は 勝てる見込みの無い日中戦争、そして日米戦争への突入を止めることは出来ず、ついには灰燼へと帰したのである。「大正デモクラシー」や「天皇機関説」がそ の淵源であったことは間違いなく、これらに戻ることはもはやできない。だが今や、その抜本的な是正策として移植されたはずの「アメリカン・デモクラシー」 という意味での議会制民主主義も無効であることが明らかになったというわけなのである。したがってこれから私たち日本人が辿るべき道はただ一つ、あらゆる 苦難の歴史の中にあっても残ってきた「天皇制」の本旨に立ち返りつつ、それをベースに他の誰にも指示されることなく、この頭、そしてこの身体、さらには我 が「魂」をもって全く新しい体制を築き上げることなのである。

 

その意味で上杉愼吉の唱える「天皇主権説」ほどアクチュアリティを持つものはない。私は、そう堅く信じている。

 

(出典:宮内庁)

 願わくば、万民にとってのあらゆる不幸な過去を乗り越え、この意味における真に「万邦無比の国体の精華」があらんこと。

 原田武夫記す

(2014年10月18日 東京・国立にて記す)

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 ※お知らせ・その1

 11月8日(土)16時~17時(15時30分開場)に東京・渋谷にてIISIA特別セミナー「原田武夫が真実を語る」を開催致します。これまで弊研究所の各種セミナーに御参加頂いたご経験の無い皆様方を対象とした全く新しいタイプのセミナーです。御申し込みはこちら乃至こちらから今すぐどうぞ!

 ※お知らせ・その2

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