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そして「本当の日本」が動き出す日 (連載「パックス・ジャポニカへの道」)

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官僚の別動体、ガス抜き隊説もある原田説最新ですが。郵政がスマホで、旧財閥、旧宮家、枢密院が、奥の院だか、知りませんが。
しかし、増税が既定路線、なんとかしないと、ゴイム解放的には、日本バブルも、なんの意味もないですね。
Φ(^π^;)φ

そして「本当の日本」が動き出す日 (連載「パックス・ジャポニカへの道」)
http://blog.goo.ne.jp/shiome/e/87bab6cdbd0dd6d5ce9a5d79b6e6d73e

この週末に入り、静かな、しかし大いにどよめきを呼ぶ1つのニュースが我が国を駆け抜けた。日本郵政グループの日本郵便が格安スマートフォン事業に参入を検討していることが明らかになったのである。来年度(2015年度)中にも事業化を図るというのであるから尋常ではない。「もはや電子メール、インターネットの時代。手紙という意味での郵便には意味が無い」そう思っていた向きにとっては衝撃であるはずだ。

なぜならば日本郵政グループ、そして日本郵便というと何せその規模が他の企業とは桁違いに違い、巨大だからである。無論、ノウハウは皆無に近いであろうが、結局マーケットは「カネがあってナンボ」の世界である。いくらでもコンサルティングを行うファームはあるはずであり、また提携を求める企業は後を絶たないはずだ。そして何よりも「郵便局」は知名度が違う。擬人化した犬やらタレントやらを次々に出してテレビCMを打たずとも、「あぁ、郵便屋さんがスマホをやるのね」と日本人ならば誰でも分かるのである。

私たちの研究所ではこのブログで書いたり、御案内しているようなリテール(個人)のお客様向けのサーヴィスもさることながら、日頃は我が国を代表する企業のお客様向けに様々なコンサルティング・サーヴィスを提供している。その際、切り口は「人財マネジメント(human resourcemanagement:HRM)」であり、「情報リテラシー(informationliteracy)」なわけであるが、要するに米欧勢がこれまで躍起になって我が国の頭脳に対してはめてきた「ヘッド・ギア」のような思考の枠組みを一つ、そしてまた一つ取り外す作業を産業人財育成の現場で行っているのである。そうしている中で、一つここに来て気になって仕方がないことがあるのだ。

それは我が国を代表する企業の奥底、いってみれば「奥の院」から徐々にこんな声が聞こえてくるようになったのである。

「今、ウチの企業はこれを売り物にしています。しかし、10年後、20年後、そして50年後にこれをそのまま売り続けている必要は本当にありますか、と志のある社員には問いかけるようにしているのです」

これは我が国を代表する金融機関の最高幹部に直結するとあるシンクタンクのリーダーから聞いた言葉である。何気ない言葉のように聞こえなくもないが、丸の内で皇居を臨む最上階でこのお話を聞いた時、私は武者震いすら覚えたことを告白しておきたい。

要するに「業界を越えては絶対に動かない」と言われてきた我が国の財界がそろり、そろりとその境界を越えて動き始めたのである。もともとは「GHQ(占領軍)」という名の米国勢が決めてくれた業界の仕切りの中で活動し、収益をあげてきたのが我が国の産業界なのである。ところがもはやそんな悠長なことを言っている暇はなく、業界の仕切りを越えて、その莫大な資金力とマンパワーを用いて一気にリシャッフルをかけようという動きが始まりつつあるのだ。余りにも静かな動きであり、とりわけ地方にお住まいの読者の皆さんはなかなか気付きにくいことかもしれない。だがこれは「現実」なのである。敗戦から70年の月日を経て、ついに我が国が産業界という切り口においていよいよ自ら動き始めたというわけなのである。

 

それが証拠に、どうも不思議で仕方がないと言われている静かな、しかし巨大なうねりが我が国にはもう一つある。それは東京を中心とした都市部の、超大型物件という意味での不動産マーケットにおける動きである。我が国の不動産はいわゆる「相対取引」がメインのマーケットであり、その透明性の悪さで知られている。誰でも参入できるが、お互いに袋の中に手をいれて「河豚」の競りをするようなものであり、結局誰と誰がいくらで何を取引しているのかが全く分からないという点に特徴がある。

そんな我が国の不動産マーケットで今、衝撃を呼んでいる出来事がある。10億円、20億円といった比較的小規模のオフィス・ビル(=事務所用物件)が時に通常の倍の価格をつけて取引されているといった、ある意味月並みな「バブル」の話ではない。通常の売買価格が150億円を超えるような大型物件について、どうやら尋常ではない価格で取引が行われているというのである。

 

(出典:建築写真集)

 

例えば青山近辺にあるとある有名物件は、通常であれば利回りを考えると150億円を超えない物件と業界では認識されてきたものである。するとそこに中国人民銀行による突然の利下げ=人民元安誘導=円高転換を控えた華僑・華人ネットワークのハイレヴェルが「もっと高値で買っても差支えない」と海の向こうから競って来たのである。同じく狙いをつけていた多くの投資家・企業たちはどよめきたち、我も我もと高値を付け始めたのである。

しかし蓋を開けてみると、結局これらの内、どの企業も落札することはかなわなかった。「一体誰がどれくらいの高値で落札したのか」そう関係者の誰しもがいぶかしがる中、今、こんな非公開情報が不動産マーケットでは静かに語られ始めているのである。

「落札したのは旧財閥系だ。しかも落札価格は通常想定されている取引価格の最高値の2倍に相当する約300億円」

マスメディアは盛んに「不動産バブルだ」と騒ぎ立てている。だがそれは実態を知らない机上の空論である。実は優良物件の取引価格がここまでになってしまうと、2005~2008年頃の「不動産証券化バブル」の担い手であった不動産ファンドにはもはや手足が出ないのである。しかも今や物件はマーケットで払拭しており、まずは既存の物件を壊し、更地にしてから建て直すことが必要になっている。開発経費からいっても莫大なものになるのは目に見えており、新興・中小の不動産ファンドは言うまでもなく、あの華僑・華人ネットワークの大物たちであってもすぐには手を出すことが出来ないレヴェルに達してしまっているのである。

問題はこうした「旧財閥系」は一体どのような戦略、いってみれば「深い思考」に基づいてこの様に動いているのかなのである。その様子を仔細に観察してきたとある関係者はこう私に語った。

「彼ら旧財閥系は何も考えてはいないのです。単に予算消化のために動いているとしか思えない。どう考えても採算が取れない落札価格なのであって、種々勘案すると3年後にはとんでもないことになるでしょう」

確かにそうなのである。「普通に」考えるならばそうなるはずだ。しかし業界横断的にインタヴューをすることのできる立場にある私としては、どうしても腑に落ちないのである。そもそもこの様に超高値で落札された瞬間においては確かに周辺の産業への波及効果は余りない。だが、更地にして建て直すというのであるから、自ずから建設業界を筆頭に徐々に相当量のマネーが湿潤し始めるのである。少しだけ時間がかかるかもしれないが、来年(2015年)春を目途にして乗数効果が働き始めることで莫大なマネーが名実共に我が国マーケットでのたうち廻ることは容易に想像出来るのだ。そう、「日本バブル」の本格展開である。

それではその司令塔が世間で信じられているように安倍晋三総理大臣とその周辺の「ブレーン」たちなのかというと、私が非公開情報も含め分析する限り、全くそのような事実は無いのである。衆議院解散総選挙によって消費再増税は最短でも1年半後ということになってしまった。その結果、政府は黙っているものの、実は追加的に「8.1兆円」もの歳入が必要になってしまったのだ(財務省試算による)。以前より書いているとおり、それでは歳入を劇的に増やす秘策が産業振興策という観点であるのかといえば、およそないのが実態なのだ。そもそも経済成長がたかだか対前年比で3パーセント増などといっても、国庫に入って来る歳入というレヴェルでの増加は1兆円以下なのである。正に「焼石に水」なのであって、私たち日本人は「権力者による、権力者の、権力者のための総選挙」の後、反論すら許されない中、社会福祉・医療といった側面でのすさまじいコスト・カットを受け入れざるをえなくなるのである。そうした七転八倒ぶりを見せる安倍晋三政権内部に真の知恵者はいないのだ。

 

 「それでは結局、私たち日本人の中で誰も何も考えていないのか」というと全くそうではない。私はこの観点で今あらためて注目すべきなのは、小泉純一郎政権当時の「構造改革」時代に派手に動き廻るいわゆる「構造改革派」のお歴々の陰でありながら、しかし常に押さえとして動く一部の人たちがいたという事実なのである。米国勢の言を借りて我が国の「構造」を真正面から叩き壊す構造改革派に対し、彼らは非常に地味である。表にしゃしゃり出ることもなく、発言が求められることも余りにない。だがどういうわけか必ず「そこにいる」のである。マスメディアたちは「構造改革派」の発言ばかりに気を取られるが、こうした彼らは常に「そこにいる」だけではなく、「完全には壊されないように」見張ってもいるのである。

 考えてもみればこれは「国家戦略」としてはかなりの高等戦略なのである。私たち日本人はいわゆるハイコンテキスト社会、つまり共通の了解が社会の中にたくさんある文化の中で暮らしている。そこでは枠組みを創り上げるよりも、与えられた枠組みに適応してもくもくと生きることが良しとされている。そのため枠組みが一旦与えられるとそれを墨守しようという「慣性の力」が働き、ふと気づくと世の中の至るところでこの「枠組み」を守ることだけをする人たちばかりになってしまうのである。「時代遅れになったから」とこの枠組みを壊そうとすると激烈な抵抗にあう。リーダーたちはこの意味でのイノヴェーションに取り組むが、真正面から抵抗にあってしまい、たいていの場合、撃沈されてしまうのである。ある意味、これほどまでに統べる(=統治する)のに厄介な国はないといっても過言ではない。

だからこそ、「打たれ強い米国勢にでもその役割を果たさせれば良い」ということになってくるのである。米国勢は建国の時点から広い意味でのJewish stateである。本当はセファラディ(Sepharadi)、表向きはアシュケナージ(Ashkenazi)と種別はあるものの、「国境を持たない民=グローバル化が進めば進むほど自らにとって好ましい人々」が仕切っている国なのだ。彼・彼女らは世界中において少しでもグローバル化に反する動きが出始めると出向いて行ってすぐさまこれを叩き潰そうとする。なぜならば自らにとって不利な投資環境・行動環境が出来てしまうと困るからだ。

そこで我が国の「本当の権力の中心」は一計を案じるのである。―――我が国の国内を真正面から叩き壊し、社会全体としての新陳代謝(世代・マネー・産業構造など全て)を促そうとしても、抵抗にあうだけである。そうであれば「打たれ強い米国勢」にこれを任せれば良いのである。最初は多少の抵抗を見せるかもしれないが、結局は「強大な存在から枠組みを与えられると、今度は一斉にその枠組みの中で動き出す癖」を持っているハイコンテキスト社会に暮らす私たち日本人なのである。放っておいても米国勢を模範にグローバルに見てもトップ・レヴェルを身につけることになるので、後はしばし見守っているだけで良いのである。手伝ってくれた米国勢には「駄賃」をくれてやれば良い。

しかし時に完全なる悪意をもって我が国における「破壊」作業に臨んでくる米国勢の輩もいるのである。先方も然るべきハイレヴェルであれば阿吽の呼吸で説明など要らないのであるが(要するに新陳代謝を社会全体で促し、「ルシャトリエの原理」を機能させることがやりたいだけなので)、レヴェルが低い輩は実に完膚無きまで我が国そのものを壊そうとするのである。これをまず阻止しなければならず、その役割にあたる人物が必要である。

それよりも何よりも厄介なのが、米国勢が圧倒的な勢いで「破壊」を始めると最初は抵抗を示していても、ある段階から味をしめ、そればかりをやり始める私たち日本人なのである。「これぞ勝ち組」「勝てば官軍」とばかりに完膚無きまで我が国の中核中の中核まで壊そうとする。これにストップをかけないと一大事なのである。もっともここで真正面からぶつかてしまってはとんでもない抵抗にあうのであり、やり方は「昼行燈」ということになる。つまり表向きは決してそんなことに関わっているとは思えないような立場にありながら、「我が国において壊されてはならないものを守り、在るべき方向へと何も知らない人々を誘う」という役割を果たしていくのである。

我が国にはこうした「昼行燈」型のリーダーからなる完全非公開のネットワークが厳に存在する。これは「成りたいから成れる」「入りたいから入れる」というものでは決してない。私が知る限りにおいて全てはシンクロニシティ(共時性)によって成り立つ世界であり、その意味で自らの意思ではないより偉大なものによって紡がれているネットワークなのであって、本当の意味で「選民」とでもいうべきつながりである。

そうした彼・彼女らは「昼行燈」を装いつつ、何とならば自らの命は惜しまないという激烈な「覚悟」を持ちながら、「戦勝国」であった米国勢にその後の働きに応じただけの駄賃をやりつつも、必要な時には物を言い、この国を守ってきたのである。手となるのは決して米国勢だけではないのであって、ロシア勢や華僑・華人ネットワークなど、世界のありとあらゆる勢力との関係で人知れず丁々発止のやりとりを日々繰り返しているのだ。彼らの中にも同じく「選民」はいて、そうした相手を見つけては「朋友(brother)」となり、いざという時、ギリギリの折衝をしていくのだ。我が国の「本当の権力の中心」はその延長線上に存在している(ちなみに私が知る限り、国会議員なるものはいかに「真正保守」を語っていたとしてもこのネットワークに属してはおらず、ましてやマスメディアで活躍している評論家たちもこれには一切入ることを許されていない)。

私自身、日々目の当りにしているこうした真実に照らし合わせた時、「同じ陰」を今、密やかに、しかひ大胆にも動きつつある我が国経済界の動きには感じるのである。その先にあるのは世界の中で我が国だけが巨大な「日本バブル」を本格化させ、かつ境界を乗り越えて縦横無尽にイノヴェーションを繰り広げる我が国というイメージだ。しかしそこまでの道のりで何といっても問題であり、障壁となるのは哀しいかな、他ならぬ「私たち=日本人」自身なのである。例えば「明日からウチは郵便ではなく、スマホを売る」といって何人の日本人がついてくることが出来るだろうか。「明日からウチは保険ではなく、自動車製造業も展開する」と上司に言われたらどうだろうか。

我が国に求められているもの。それは以上に述べた意味での「本当のグローバル」を知っている日本人であり、「偏見・こだわりなくイノヴェーション」を進める日本人であり、さらにいえば「社会変革をよどみなく進めていくリーダーシップ」なのだ。

 

どうやら来年(2015年)から我が国はいよいよ面白くなってきそうだ。万全の体制で臨めるよう、体調も整えながら、新年へと怒涛の勢いで突っ込んでいきたいものである。

 原田武夫記す

(2014年11月30日 東京・国立にて)

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