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圧勝・安倍晋三政権を待ち構える「ギリシア化」という罠 (連載「パックス・ジャポニカへの道」)

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原田氏は、日本皇室始祖鳥ですから、もう事前に、不正選挙結果、知ってたんですね。

圧勝・安倍晋三政権を待ち構える「ギリシア化」という罠 (連載「パックス・ジャポニカへの道」)

http://blog.goo.ne.jp/shiome/e/10feb15feef14e80ab1482c0aaec9aa5

 

「アイスランドの同胞の皆さん・・・わが国は今、重大な危機に直面しています。これはそのことを皆さんにお伝えするための特別放送です。・・・(中略)・・・皆さん、最悪の場合、わが国の経済は銀行とともに混乱の渦に巻き込まれ、国家破綻という結果になるかもしれません。しかしながら、責任ある政府は、たとえ銀行制度が崩壊の危機に瀕しようとも、国民の未来を危険にさらすようなことはいたしません・・・(中略)・・・この状況に多くの人々が衝撃を受け、怒りと不安を募らせているでしょう。しかしながら、アイスランド国民が力を合わせ、不屈の精神を示す機会があるとすれば、それは今をおいてほかにありません。今こそ皆で手を携え、誰もが人生で最も大切だと思うものを守り、その価値を損なうことなく迫りくる嵐を乗り切ろうではありませんか」

 

 

2008年10月6日。北極圏の小国・アイスランドのテレビ画面には「アイスランドに神のご加護を」との文字が突然映し出された。それと同時に静々と、ここで引用した言葉を一人の男性が画面越しに語り始めたのである。男の名前はゲイル・ヒルマル・ホルデ。当時、アイスランド首相を務めていた愛称「ゲイル」だ(上記引用も含め、デヴィッド・スタックラー他「経済政策で人は死ぬか?公衆衛生学から見た不況対策」(橘明美他・訳)草思社より引用)。私にはこの「ゲイル」の姿が、早ければ3年後、今度は我が国のテレビ画面に映し出されることになるであろう安倍晋三総理大臣のイメージに重なるように見えてならない。

 

なぜならば本日(14日)投開票が行われる衆議院総選挙の結果、「圧勝」になるにせよ、はたまた番狂わせとなり「辛勝」になるにせよ、大方の見方に従う限り、安倍晋三政権が続くことは間違いないからである。だが、それによってもう一つほぼ確定的となることがある。それは現状を前提にすると早ければ2017年後半にも訪れる我が国におけるハイパーインフレ展開と、それを契機とした事実上のデフォルト(国家債務不履行)処理という意味での「その時」に、その事実を私たち国民に対して伝えることになるのは、他ならぬ安倍晋三総理大臣その人になるということだ。

 

今回の解散総選挙を決断する直前、永田町・霞が関では「暗闘」が続いていた。財務省と経済産業省の間においてである。財務省は、最悪の場合には事実上のデフォルト(国家債務不履行)処理を行わざるを得ず、しかもその時最もけたたましく騒ぐであろう外国人投資家たち(”越境する投資主体”)を封じ込めるためにも国際的なルールに則るべく、「財政調整(fiscal adjustment)」であり同時に事実上の「債務交換(debtswap)」処理でもある「消費増税」の再度の実施を主張して止まなかった。

これに対して抵抗したのが経済産業省である「経済成長によってこの難局は乗り切れます。消費増税などしてアベノミクスを失速させては元も子もありません」と懇懇と語り、遂には安倍晋三総理大臣を納得させることに成功したのである。そうした一連の流れを目の当りにして、財務省最高幹部の一人は私に対してこう語った。

 

「経済成長で何とかなるといっても、国内総生産(GDP)が2パーセントだ、3パーセントだと上がる程度。それによる国家としての歳入増加は1兆円にも満たないことは既に誰の目にも明らかだ。それなのに、そんな単純な事実に安倍晋三総理大臣は目をつぶり、経済産業省の論理になびいてしまった。そうである以上、いよいよパンドラの箱を開けなくてはならなくなったということだよ」

 

これまでいかなる政治家たちも本当の意味でのメスを入れて来なかった「パンドラの箱」。それは一連の社会福祉・医療分野だ。なぜそれを開けなければならなくなるのかといえば、これまた単純な話だ。消費再増税が2017年4月まで延期されることで、その間の「つなぎ」として実に約8.1兆円の歳入確保が必要となってくるからである。当たり前といえば当たり前の話ではある。

政治メディアたちは実のところ、今回の選挙前から「そうなること」を知り抜いており、次に報じるべき記事を抱え、そのタイミングを虎視眈々と狙っている。それは簡単にいうと「財務省VS厚生労働省バトル」だ。本当は先ほどの述べたとおり、そもそも安倍晋三総理大臣に現実から目を背けさせ、あいも変わらずの「右肩上がり幻想」を抱かせた張本人は経済産業省であるというのに、そこでは一切報じられることはないのである。そうではなくて、いかにも官僚然とした調子で理路以前と我が国の債務リスクを語り、既得利権を壊そうと躍起になる財務省と、「それでは国民の命はどうでも良いということなのですか」とこれまたあいも変わらずの”お涙頂戴”の議論を展開する厚生労働省。この2つの「バトル」としてこれからの動きをマスメディアたちは報じることになるというわけなのだ。

そうした状況を踏まえ、安倍晋三総理大臣としては2つに1つの選択肢を迫られることになる。財務省の述べる「論理」に従うか、あるいは厚生労働省が語る「情」をとるか、だ。しかし国政レヴェルでは程なくして明らかになる「勝利(圧勝であれ、辛勝であれ)」によってもはや配慮すべきは「選挙」ではない。その意味で純粋な意味での永田町に対する操縦術という観点では、総選挙前に財務省を敗北に追いやった手前、バランス感覚からいって財務省の肩を持たざるを得ない。そうなると、結果として切りつめられるのは国民生活に直結する社会福祉・医療分野ということになってくるのである。

 

つまり今回の選挙の「後」こそが我が国に生きる私たち国民の「命運」を分ける分水嶺なのである。そして以下述べることの結論を先取りして言うならば、ここでどのような判断をするかによって我が国が「ギリシアの悲劇」を辿ることになるのか、あるいは金融危機によってどん底に追い詰められつつも復活した「アイスランドの復活」を繰り返すことになるのか、が決まって来るのである。

 

上述の著作「経済政策で人は死ぬか」においてはこの点について明確に国際比較が施されている。以下、この本に基づきながら一体何が我が国に先行する形で欧州でこれまで起きてきたのかを振り返ってみよう。

ギリシアにおいては2009年から2010年にかけて、その経済実態がEUなどが想定していたより遥かに悪いものであることが暴露された。そのことにより、ギリシアは金融マーケットで一斉に「売られる」展開となり、長期金利は2010年になると対前年比で2倍以上の10パーセント以上に上昇。国家としてもはや資金調達をすることが出来ない状況へと追い込まれ、デフォルト(国家債務不履行)が現実味を帯び始めた。その様な中、失業率は17パーセントまで上昇(2011年。208年は7パーセント)、未就職率に至っては40パーセント(同。2008年には19パーセント)に急上昇し、社会全体に怨嗟の声があふれかえったというわけなのだ。

この様に苦境に陥ったギリシアに対し、「助けの手」を差し伸べたのが国際通貨基金(IMF)である国際通貨基金(IMF)は徹底した緊縮財政の完全実施をギリシア政府に迫った。これは国民に対して窮乏を強いるものであることは明らかであり、暴徒化した国民たちは「国民投票の実施を!真の民主主義を!!」と口々に叫びながら立ち上がった。だが、これに対してパパンドレウ首相は淡々と次のように語るだけだったのである。

 

「私たちギリシア人は辛い道のりを歩むことになるでしょう。しかし社会の弱者を守る努力はこれまでにもなされてきましたし、これからももちろん続けます」

 

しかし実際には何が行われたのか。―――パパンドレウ政権は今やギリシアの「本当の主」となった国際通貨基金(IMF)の提示した支援パッケージを受け入れるべく、「医療制度の改革と近代化」と銘打って「保険医療支出を国内総生産(GDP)の6パーセント以下にまで抑えること」を完全履行し始めたのである。

この時、国際通貨基金(IMF)は「処方薬支出額の削減」をギリシア政府に約束させた。「外来処方薬に対する公的支出を国内総生産(GDP)の1.9パーセントから1.3パーセントに削減する」というその要求に基づき、ギリシア政府は病院の予算削減を強行した。病院側は必要な医薬品・医療用品を調達出来なくなり、抗生物質といった基本品目まで不足する一方、ギリシア政府による支払未履行に嫌気がさして海外の製薬会社が次々に撤退し始めた。また公立病院では医師や職員等、合計35000人余りが解雇された。

こうした流れの中でギリシア国民の生活において何が起きたのか。いくつかのデータを挙げておきたい:

 

●健康状態に関するアンケートで「悪い」「非常に悪い」と答えた人は、2007年と2009年を比較すると15パーセント増であった

●治療費が「高い」民間病院から相対的に「安い」公立病院へと人々は殺到し、2007年との比較で2009年には患者数が約25パーセント増加した。患者のみならず生活に追い詰められた医師たちは公然と患者たちから賄賂を受け取るようになった。貧困層がますます

●2007年から比べて2009年には自殺者が24パーセントも増加した

●感染症患者が急増した。特にショッキングであったのが欧州においては数十年ぶりとなるHIV感染拡大であり、特に2011年1月から5月までの間に分かっているだけで348名もの人々が「麻薬注射針」の使い回しを主たる原因としてHIV陽性であることが判明した

 

事態の深刻な悪化を受け、ギリシア政府が手を打ったのかというと、ほとんど無策のままであった。なぜならば「カネが無かった」からである。担当の保健・社会福祉省は実に40パーセントも予算を削減され、為す術を知らなかった。しかもそれだけではない。「緊縮財政策が国民の健康を明らかに蝕んでいる」との国内外からの指摘を露骨に無視し、”逆ギレ”するような対応をとったのである。―――もはや、ギリシア国民に、救いの手を差し伸べるものは誰もいなくなった。

2012年4月4日。ギリシア・アテネ中心分のシンタグマ広場で77歳の老人が拳銃自殺を図った。老人の名はディミトリス・クリストラウス。引退した薬剤師であったが、年金を奪われ、薬代も払えなくなったことから生活苦で引き金を引いたのであった。彼が残した遺書がある。

 

「今の政府はツォラコグロウ政権(註:ナチズムに協力した当時の政府)と同じだ。わたしは35年間年金を払いつづけたし、今まで政府の厄介になったこともない。ところが政府は、当然受け取れるはずの年金をわたしから奪い、生きる術を奪った。もっと思い切った行動をとりたいところだが、この歳ではそれもできない(とはいえ誰かがカラシニコフ銃を手にするなら、わたしもすぐあとに続きたいところだ)。もう自分で命を絶つ以外に方法がない。そうすれば、ゴミ箱をあさるような惨めな思いをせずにすむ。この国の未来のない若者たちは、いつの日か武器を手にとり、裏切者たちをシンタグマ広場に吊すだろう。1945年にイタリア人がムッソリーニを吊したように」(前掲書第22頁より引用)

 

その後、幾分かは状況が改善したかのように表向きは見えなくもないギリシア。だがこの老人による自死はギリシア国民たちの心に「二度と癒えない傷」を間違いなく残しているのだ。

 

 

金融危機がもたらした「ギリシアの破綻」。しかしこれに対して公衆衛生という観点からもむしろ劇的な復活を遂げた国がある。それはアイスランドだ、とこの本の著者たちは言う。

1990年代半ばにそれまで漁業と観光しかまともな産業が無かったアイスランドは、海外の”越境する投資主体”たちにとって圧倒的に有利な税制への切り替えを決断。富裕層の「貯金箱」となることで一気に世界中からマネーを集め始めた。その結果、2007年には実に国民一人当たりの所得が米国におけるそれを60パーセント以上も上回るレヴェルにまで達したのである。正に「アイスランドの奇跡」であった。

しかしその裏側で長閑な漁業国であったはずのアイスランドはその根幹から蝕まれ始めていた。海外からマネー流入が続き過ぎた結果、経常収支赤字が拡大。仮初の「好景気」を裏付けるかのように盛んに行われる不動産投資に対して今度は国内の銀行たちが大量のマネーを貸し付けていたが、その銀行たちはというと海外の金融商品に依存した資産運用を行っていた。

それが今度は火を噴き始めたのである。2008年秋の「リーマン・ショック」である。アイスランドは「史上最大の奇跡の国」から「史上最悪の不幸な国」へと突き落とされた。英国をはじめとする諸外国は窮地に陥ったアイスランドを助けるどころか、いち早く資金を引き上げようと「貸し剥がし」に躍起となった。もはや彼らは頼りになかった。

ここで再び登場するのが国際通貨基金(IMF)だ。そして上述のギリシア同様、国際通貨基金(IMF)が目を付けたのがアイスランド政府における保険医療関連の予算なのであった。国際通貨基金(IMF)はこの時、その予算を30パーセントも削れと要求した。彼らにとってアイスランド人たちが享受している医薬品は「ぜいたく品」であり、相対的に高い医療費支出は削られるべきであることに加え、こうした大胆な削減措置により、医療の民営化も進められると息巻いたのである。海外預金者にとって高金利の金融商品であった「アイスセーブ」の返済問題も含め、これらをどう処するかについて国論は沸騰した。そして全ては国民投票に付託されたのである。

 

その結果、どうなったのか。―――アイスランド国民は明確な形で「国際通貨基金(IMF)の極端な緊縮策」と「アイスセーブの(外国人)預金者保護策」の2つに対し、”NO”を突き付けたのだ。これを踏まえ、アイスランド政府は次のような政策をとり始めた:

●医療制度を維持・拡充した。通貨クローナの下落で医薬品の輸入量が落ち込むことがないよう、医療関連予算を2007年当時の国民1人あたり38万クローナから2009年には45万3千クローナまで増額した。これによって国民の基本的な医療アクセスが確保されることになり、「健康危機」がアイスランドに訪れることはなかったのである

●食糧費補助、住宅支援、再就職支援といった制度が維持される一方、失業の急増に対しては主要な労働政策を強化して再就職を後押ししつつ、一連の債務免除政策の対象に中小企業も含めることで解雇の抑制を図った。その結果、例えばアイスランドにおける貧困世帯の数は微増にとどまった

 

端的にいうと、アイスランドにおける死亡率はこうした金融危機にもかかわらず、一貫して下がり続けたのである。経済成長率も2009年に対前年比マイナス9パーセントまで落ち込むものの、2011年代以降は3パーセント以上を確保し続けてきている。ギリシアにおける悲劇とは対照的な構図である。

 

「ギリシアの悲劇」と「アイスランドの奇跡」をくっきりと分けるものは何だったのであろうか。上述の本ではこの点についてこう述べている:

 

「このように、アイスランドはセーフティネットを維持することで金融危機に立ち向かったが、これを乗り越えることができた理由として、もう一つ忘れてはならないものがあり、それが国民の団結である。金融危機発生直後には、巨額の負債を作った富裕層とそれ以外の人々との間に亀裂が生じたが、その後の国民投票を経て再びこの国に団結の火がともり、国民全員が同じ危機のなかにあるという感覚が共有された。もともとアイスランドは西欧諸国のなかでもとりわけ社会関係資本が豊かな国で、誰もが近所で、職場で、そして教会で親しい友人の輪に囲まれている。・・・(中略)・・・金融危機に瀕しても民主主義精神が損なわれず、むしろ高められたのは、そうした背景があったからでもあるだろう。金融崩壊を前にはあれだけ拡大していた所得格差も、危機発生後には一気に縮小し、他の北欧諸国と同じレベルに戻った」(同前掲書第135~136頁参照。下線は筆者による)

 

さらにアイスランドでは危機の再来を防ぐべく、2011年に憲法改正を行った。しかしそれは議会において「専門家」たちが案を練って、人知れず決めてしまうといった類のやり方によるものではなかったのだ。一般市民から立候補した25名の市民たちがインターネットを利用しながら集めた国民の意見をまとめる形で原案を作成したのである。さらにその後、これに関する6つの質問にソーシャル・メディアのアプリケーションを用いながら答えるという形で国民投票が行われ、賛成多数で可決されたのであった。つまり、危機を通じてアイスランド人たちはむしろ一致団結の機会をとらえ、国民統合を強化したというわけなのである。

 

本日(14日)行われている投開票を通じ、強化された安倍晋三政権が就任早々に直面するのは未曽有の金融危機、そしてそれに連動した形での地政学リスクの炸裂である。端的に言うならば、もう程なくして年末と年始の端境期を狙って原油価格が1バレル=80ドルという「シェール革命」にとっては生命線であるラインを遥かに下回る価格で取引されていることから、これまでバラ色の未来を語ることで高金利であっても大量の資金を集めてきたシェール関連の米企業の債券及びそれに関連した金融商品が暴発し、「第2のリーマン・ショック」にも匹敵した金融危機を巻き起こす。無論、「シェール革命の本場」である米国経済が失業率・ドル価・株価共に奈落の底に突き落とされることは言うまでもない。

仮に米国のオバマ政権がこれを避けようとするならば、原油価格の引き上げを実施させるべく、種たる産油国に対して暴力を用いるしかない。端的に言うならば一方では「イスラム国(Islamic State,IS)」による攻撃、他方ではイスラエルによる対イラン攻撃の実施を通じ、中東大戦争に火を付けさせるのである。これに呼応する形で米欧の主たる都市ではイスラム・テロが同時多発的に発生し、特にその対象となる米国では原油価格こそ高騰すれど、ドル価・株価共に大暴落となる。

 

これらのいずれであっても、就任早々の新政権(おそらくは強化された「安倍晋三政権」)が直面するのは原油価格の急騰、そして米ドルと日米欧株価の瓦落という緊急事態なのである。そして突然の場面転換を受けて我が国経済は一気に引き締まり、「不況」が一気に加速することになる。選挙前までは株価が連騰していたと思ったらば、今度はいきなり暴落し、歴史的な円高が始まってしまうのだ。正に阿鼻叫喚の展開であり、企業支出はおろか、個人消費は急激に落ち込むことになる。「それでは我が出番」とばかりに尻を叩かれた日銀が更なる追加緩和に走ることになるものの、不発に終わり、マネーだけが行き場を失い、市中銀行の当座預金口座に積み重なっていくのである。そしてそれが本当の意味で「富裕層」だけにとって有利な資産バブルを天文学的なレベルで加速させていく。企業は賃上げなどまっぴらごめんという態度を硬化させ、「急激なインフレ下での賃金伸び悩み」という典型的な実質賃金低下に国民は苦しむことになる。その結果高まる不満のやり場を求め、未就業者である若者たちを中心に排外主義が高まりを見せ、同様に悲惨な状況になっている近隣諸国でも排日主義が高まる中、ついには一触即発の状況にまで至る。そしてついにはハイパーインフレ展開が始まり、日本国債と日本円の暴落が起きる中、番人たる国際通貨基金(IMF)が登場。したり顔でこう言うのだ。

ほら、あの時言っただろ。消費増税をしっかりやれ、と。そうしなかったからこうなったのだよ。だがもう仕方がない。この処方箋に沿って、しっかり緊縮財政をやってもらわないとな」

 

そこで始まるのが社会福祉・医療分野における徹底した緊縮財政の強制履行である。結局追い詰められるのは他でもない私たち、そうこの国の主人公であるべき「国民」であり、失われるのはその命なのである。

 

ペシミズムでも、ニヒリズムでもなく、率直に言うならば現下の状況において、誰が首班となっても、そして誰がそれを選ぶ議員となっても事態は同じなのである。今回選ばれ、意気揚々と我が世の春をしばし謳歌することになる与党議員たちは、2年もすれば自らが大変な罠にはまっていることに気付くのだ。なぜならばあの時、冒頭に引用したアイスランドの「ゲイル」の様に国民に対して頭を垂れ、国家破綻という「真実」を告げなければならい役回りを演じさせられることになるのであるから。

 

それでもなお「いや、道はある」とこれから本当に為すべきことを語る勇気ある者の諫言を、今や権力の絶頂へと上り詰めることになる安倍晋三総理大臣が聞き入れることが出来、その結果、我が国は「アイスランドの軌跡」へと導かれることになるのか。はたまた、いかなる諫言をも受け入れず、「国家機密」と「絶対多数」を掲げながら独善へと走り、ついには議会制民主主義という枠組みを超える原理の登場を招いてしまうことになるのか。

 

私自身は我が国国民の一人として、そして枠外にあって新たな枠組みを創り出すという意味における「真のイノベーター」として、そのどちらに陥ったとしても我が国が誇り高き存在として国際社会における立ち位置を守り、復活を遂げることが出来るよう、引き続き非力を尽くしていく考えである。そのための策は・・・ある。



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